お土産売り場の原風景


最初の記憶は小学校の遠足で行った先のおみやげ屋さん。
同級生とワイワイとハイテンションで店に入り見て回る。
お小遣いをくれた、おばあちゃんに何か買って帰えろうか。
あの当時は店に置いてある商品が全て価値のあるものに見えた。何があったかというと、貝殻で作った置物、絵はがき、キーホルダー、お目当てだったのが三角ペナント、部屋の壁に貼っていたものだ。
おばあちゃんに買ったのは怪しい置物だったかも知れない。
 
他にも思い出すのが、くじらのヒゲ、木の刀など、今考えると何の役にも立たないくだらない物ばかり。
でもそういうくだらない物が並んでいるのが、おみやげ屋で、それらを見て回るのがとても楽しかった。あの時の何とも言えないワクワク感は今も忘れられない。
 
今でもおみやげ店の前を素通りできないのは、あの頃の記憶のせいかも知れない。
時は流れ、現在のお土産屋さんの様子はと言うと、だいぶ雰囲気が変わった気がする。
多くのお店では店内に入って最初に目に入るのは怪しい置物ではなく、山のように平積みされたお菓子の箱だ。
店内の大部分が高層ビル街のように箱の山が連なる。
人々のニーズが変わってしまった。「実用性の無い物は買わない」というのが現代の賢い観光客の常識だ。常識豊かな観光客は衝動的に買い物をしたりしない。
あらかじめ決めておいた数のお菓子を購入し、余計な物は手にしない。その結果、店内に幅を利かせたあやしい品々は姿を消していき、雑貨品などの売り場は、どんどん狭くなり今や絶滅の危機に瀕している。
 
あの楽しかったお土産屋さんの風景は今や風前の灯火だ。
このままお菓子の箱に占領されてしまうのは、あまりにも寂しい。
 
旅の最後に立ち寄るのがおみやげ屋さんだ。
かつて自分もそうであったように、ぜひとも楽しい思い出で締めくくってもらいたいと思う。
そのためにも其処にしかない面白いものや楽しい物が有ってほしい。
そんなことを考えながら新しいグッズを考えている。
 
おみやげ屋さんの楽しい空間をもっともっと楽しい所にしたいと思う、今日この頃。